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借地人と争わない・揉めずに済む「地代の値上げ交渉術」とは?

この記事を読むのに必要な時間は約 14 分です。

土地の所有者なのに、どうして地代を上げるのも一苦労なのか?

以前の記事でも言及したことがありましたね。

土地の賃貸借契約がはじまった時代と今とでは物価も上がっているし、経済も発展しているのに、2世代前の地代の額でいまだに成立している土地賃貸借契約もざら。

一部の借地人には耳の痛い話ですが、これでは地主があまりにも不幸であり、バランスの悪い取引としか言いようがありません。

地主の中には暴利な地代や更新料などを悪意もって徴収しているケースもありますが、今回のコンテンツは、そうでないケースを前提に、地代の値上げ交渉を、揉めずに争わずに成功させるヒントを鏤めていきます。

地代を上げたい、でも借地人と揉めたくない。

地代を上げれずに泣き寝入り状態の底地を長く持ち続けている地主の方や、このような状態の底地を相続により所有することとなった地主の方は、必見ですよ。

地代の値上げがスムーズにいかない4つの理由とは?

先ずはじめに、どのような理由で地代値上げの交渉が上手くいかないのかを知ることが大事だよ
底地犬・借地犬
底地犬・借地犬

理由は、それぞれの借地人の事情に寄り添い理解することで、借地人が納得せざるを得ないバランスの取れた策を講じるためです。

値上げをするからと借り手に言っても、すんなりハイと言ってくれるケースはそう多くはないのが現実ですからね。

地代の値上げがスムーズにいかない①

「借地借家法により借地人に契約を更新する権利が与えられているため」

地代は借地人との合意が取れない限り、柔軟に値上げすることが出来ません。

借地借家法の第11条では、地代の増減額請求権を認めており、地代の増減について請求することが出来ると定めています。

底地権者には地代の増減について、意思表示をするだけで良いという形成権を持ちますが、借地人保護の観点から、地主の更新拒絶の制限など借地借家法により定められた法定更新の考え方が、地代改定の場面で交渉ができないことを多くしていると言えます。

地代の値上げがスムーズにいかない②

「周囲の地代との比較をした時に、新しい地代が高すぎるように思えること」

借り手である借地人は、地代の値上げを請求された場合、たいていは周りのテナントや住居の賃料を調べて、その値上げ額が適正なのかを確認することが多いです。

そこで周りの物件の賃料がそれほど高くないのであれば、値上げを求められる根拠がないと考えるわけです。

借地人としても、請求を拒否するにはある程度の拒否する理由が必要だと考えることが多いので、その根拠として周りの物件の賃料を引き合いに出すケースは多いものです。

確かに、周辺エリアの平均的な賃料というのは地代を決める一つの要因となります。

しかし、地主としては周りの事情だけでなく、土地の運用コストである固定資産税や路線価を考えて地代を算出するものです。

賃料の相場というのは、額を決める要素の一つにしか過ぎないわけですが、借地人としては相場感を大事にする傾向が強いので、両者の間で意見の違いが出てきてしまうというわけです。

地代の値上げがスムーズにいかない③

「借地人の経済的事情」

やはり、これが最も大きくより一般的な理由とも言えますね。

借地人との交渉の中で言われることが多いのが、

「これ以上地代を上げられるとやっていけない。」

という言葉ですよね。

もちろん、単なる断り文句ということもありますが、経済的な余裕がなく実際に支払えないというケースがあるのも事実です。

借地人としては、地代の支払いができなくなってしまうと、滞納が続き契約解除の原因となってしまいます。

そうなると、その土地を利用し続けることができなくなりますので、値上げはしてほしくないわけですね。

地代の値上げがスムーズにいかない④

「裁判所に持ち込めるという考えが借地人にあるから」

地主が地代を上げると言っても、借地人はそれを拒否する権利があります。

とはいえ、そのままでは平行線ですので、裁判所に持ち込んで値上げをする地代が適正かどうかを決めてもらうことができるんですね。

地主が値上げを請求してきても、話し合いの段階ではとりあえずは拒否し続けて、最終的に裁判所まで持って行けるという意識が借地人にあると、当然話し合いだけでは合意が難しくなってしまいますね。

いざとなったら裁判に持ち込めば良いということで、なかなか決まらなくなるのです。

それでは、何故、地代の値上げが円滑にいかないのか?についてを学んだ後は、実際に値上げ交渉するタイミングを見計らうステップへと進んでいきましょう。

地代の値上げを請求するタイミングを解説

借地人に納得してもらうためにも、値上げが正当であるとの根拠を示せるように、適切なタイミングを計ることが重要だよ
底地犬・借地犬
底地犬・借地犬

何の根拠もなく値上げをしようとしても、「なぜ今?」と聞かれてしまっては、借地人も納得しないでしょう。

では、どんなタイミングで請求を行うと、借地人と争わずに、よりスムーズに値上げができるのでしょうか?

地代の値上げを請求するタイミング①

「固定資産税の税額が上がった時」

固定資産税は毎年ある程度の変動があり、不動産評価額に基づいて決められています。

固定資産税はそれなりに大きな税額となることが多いので、地主にとっては負担がかかる運用コストの一つです。

賃料を初めに設定した時よりも明らかに税額が上昇しているのであれば、それを賃料に上乗せするのはしょうがないことですよね。

そうすることにより、地主の負担を減らせます。

また、税金の額という明確な根拠がありますので、地代を初めに決めた時よりもどのくらい上がっているかの課税額を証明する書類と共に見せれば、交渉に説得力を加えることができるというのも利点ですね。

借地人もデータに基づいた裏付けのない請求に、すんなりハイとは、言いたくても言えないものです。

このように根拠を示すことも借地人への優しさと考えてください。

地代の値上げを請求するタイミング②

「路線価の上昇が見られた時」

路線価は公表されているものですので、簡単にチェックできますよ。

国税庁のホームページでも、税務署でも確認できるようになっています。

路線価とは、財産を相続する際や、遺贈または贈与する際の税額を算定するための財産評価基準であり重要な数値ですね。

そのため、路線価が上がっていれば、それだけその土地の不動産価値が上がっていますので、地代を上げるということになっても不思議はないわけです。

実際に地代を決める際の一つの指針となるのが路線価であり、多くの地主は路線価を参考にしながら地代を計算していますね。

その方法は結構簡単ですので、参考までに覚えておくと良いでしょう。

まず国税庁のホームページなどで、自分の土地の路線価をチェックします。

 国税庁ホームページ

地図上に数字とアルファベットの記載がなされていますので、その数値を探します。

たとえば、「500C」などの記載があるとします。

これは1平方メートル当たりの価格が50万円であるということを示しています。

この単価はあくまでも鑑定価格ですので、実勢価格は数割アップすることが多いです。

エリアや土地の個別要因(簡単に言うと形状であるとか・・・etc)によってその差はありますが、市街地であれば1.25をかけたくらいが実勢価格の目安とすることが多いですね。

このケースだと625,000円となり、100平米の土地であれば6,250万円で取引されると机上では見ることができます。

625,000円(平米単価)×100㎡(面積)=62,500,000円(机上の実勢価格)

地代は実勢価格の1パーセントから1.5パーセント程度ですので、これをかけて625,000円~が年間地代となります。

62,500,0000円(机上の実勢価格)×0.01~0.015(係数)=625,000円~937,500円(路線価を基準にした計算法)

こうして出てきた数字が、ある程度適正な地代であると考えることができますね。

現在の地代の額が、明らかにこの数字とかけ離れているのであれば、この資料を持って借地人に歩み寄ることも良いでしょう。

 

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地代の値上げを請求するタイミング③

「周辺物件の地代が上がっている場合」

近いうちに都市開発が進むことが確実な場合や、近くに大きな商業施設や駅などの公共施設ができたため、エリア全体で地代が上昇することがあります。

路線価自体はそれほど上がっていないものの、ニーズが高まって多くの人や企業が入り込み始めるケースは珍しくなく、それに伴って地代も高くなっていきます。

こうした場合では、周りのテナントや住居用の地代が上昇しているために値上げ請求をするというのは、自然なことと見られますので良いタイミングとなりますよ。

地代値上げの交渉を成功させるための5つの方法とは?

地代の値上げ交渉を成功させるためのコツ①

「借地人との関係を日ごろから良くしておく」

そもそも論とはなってしまいますが、借地人との関係を日ごろから良くしておくというのも、こんな時には非常に大事なポイントとなりますね。

経済的な事情などもありますが、やはり人間関係ができていると、交渉がしやすくなりますし、地主の事情を汲んでくれることにもつながりますからね。

元々借地権というのは、借り手のことを信頼するので長期に亘って土地を貸し、かなりの程度自由にそこを使っていいですよ、という趣旨のものです。

お互いに信頼関係があることでうまく行く権利ですので、その基本をしっかりと押さえておきたいものですね。

今後の交渉をスムーズにするだけでなく、普段の不動産管理にも役立つことですね。

効率よく運用をしたり、借地人とのトラブルを減らすことにも貢献しますので、常にこれらのことを意識して実践するようにしましょう。

地代値上げの交渉を成功させるためのコツ②

「明確な値上げの根拠をデータとして見せる」

これはとても重要です。

上述の通り、借地人としても、請求を拒否するにはある程度の拒否する理由が必要だと考えることが多いのと同じで、根拠のないものにすんなりハイとは言えません。

データを示すことはとても親切な方法です。

賃貸借契約を結んだ時の固定資産税や路線価はこのくらいだった、周りのテナントビルの地代はこのくらいだったと示します。

その上で、現在の税額や路線価、周辺の平均地代はいくらになっているということを明確に提示するのです。

何割上昇しているかをグラフなどで見せて、明らかに不動産価値に対して地代が安いということを、借地人が理解し易いようにします。

借地人が地代値上げ請求は妥当だと納得してもらうためにも、こうしたデータはとても役に立ちます。

地代の値上げ交渉を成功させるためのコツ③

「プロに交渉を依頼する」

不動産管理会社を利用しているのであれば、交渉を一任することもできますね。

もしくは、こうした不動産の扱いの代行をしている会社がありますので、事情を説明して交渉してもらうことも可能です。

やはり、この道のエキスパートですので、地主ではうまくいかない交渉も穏便に進めてくれる力を持っています。

地代の値上げ交渉を成功させるためのコツ④

「欲張らない」

地代の値上げがスムーズに運ばない理由の一つに、底地人と借地人の賃料設定に対する考え方の違いというものがありましたね。

実際に地代値上げの話を詰めていくと、借地人としては相場感を大事にする傾向が強いことがわかっています。

地主としては1円でも高く地代賃料を値上げしたいところですが、この裏を返せば、相場感を重んじた地代設定であれば、地代の値上げ交渉が成功する確率が上がるとも言えます。

地代の算出方法に決まりはありませんが、時と場合によっては、借地人にとってフェアと感じられるように譲歩する必要もあります。

地代の値上げ交渉を成功させるためのコツ⑤

「地代の交渉記録を残す」

既に借地人との関係性が悪化したまま放置しているケースもあることでしょう。

過去の更新前に地代の値上げを申し入れたがまとまらなかったなど様々なケースもあることでしょう。

何を言ってもどうせ無駄だからって地主の方が面倒がっていることもあるのではないでしょうか。

しかし、借地人も相続により代替わりしている可能性があります。

後日言った言わないで争いが生じることのないよう、そして記録が交渉に有利に働くことも考えられますから細めに交渉記録をノートに残しましょう。

借地人が値上げに同意しない場合の方法

通常は、ある程度交渉をすれば妥協点を双方が見いだせるはずです。

ここから先は、借地人が値上げに同意しない場合の方法がいかに面倒なのかを学ぶためのものです。

借地人と争わない・揉めない手法を心得るためのものとしてお読みください。

借地人が値上げに同意しない場合の方法①

「賃料上昇の根拠となる資料の準備をする(調停や裁判を見据える)」

借地人との交渉の際にも、どうして値上げをするのかを示すことが重要ですが、裁判となった場合はさらに根拠の提示が必要となります。

裁判所は客観的な事実を見て値上げが妥当か、値上げをするとしたらいくらがふさわしいかを判断します。

そのための材料を明確な資料で用意しておくことが、裁判で勝つために必要な条件となります。

値上げに応じてくれないからと、すぐに法的な措置に移行する必要はありませんが、やはり裁判となると手間も時間もかかります。

なにより、こじれてしまうと借地人との関係が悪くなり、その後もトラブルが起こりやすくなってしまいます。

それで、一回や二回で諦めずに引き続き何回か交渉を続けるようことが得策です。

もし、ある程度金額の点で妥協しても構わないというのであれば、その妥協案を提示するのも一つの手となります。

そして、準備した値上げ請求の根拠となる資料を見せて、値上げが決して不当なものではないと理解してもらえるようにします。

借地人が値上げに同意しない場合の方法②

「内容証明郵便を送る」

それでもダメな場合のステップです。

その中身としては、こちらの請求内容と、ある程度根拠となるものを記載することができますね。

特に内容証明郵便の送付は必須というわけではありませんが、一応順を追ってこれをしておくと、後々の調停や裁判でスムーズに話を持って行けます。

借地人としても、内容証明という形で通知されるとより真剣に考えるようになりますので、心理的な効果も期待できるでしょう。

また、借地人が調停の場などで、地主からしっかりと説明もないままいきなり地代の値上げを言われた、などと言われないためにも役立つことでしょう。

内容証明を送ること自体は大して手間ではありませんので、行っておくメリットの方が大きいです。

借地人が値上げに同意しない場合の方法③

「裁判所での調停」

交渉でまとまらない場合は、この手段となります。

地主が裁判所に申し立てをします。

いきなり訴訟ではなく、まずは調停によって双方の意見を聴き、調停委員による調査もして、和解でまとまる道を探るんですね。

調停委員は不動産鑑定士などのプロで構成されているので、より客観的な調査をしてくれて、地代値上げが正当かどうかの意見を付けてくれることもあります。

借地人が値上げに同意しない場合の方法④

「訴訟する」

調停でも合意できない場合は、最終手段として訴訟になります。

お互いの主張をもう一度はっきりとさせてから、今度は裁判所が決定を下すことになるんですね。

地代の値上げが正当であるかどうかの判断と共に、値上げ額についての決定もなされます。

この裁判所命令は拒否できませんので、最終決定ということになります。

まとめ

今回は、借地人と争わないで済む地代の値上げ交渉についてをコンテンツにしました。

地代の値上げに同意を得れなくても裁判までもっていくのではなく、やはり借地人との交渉で明確に合意を取りたいところですよね。

お伝えしたいことは、揉めたら時間も費用も別に掛かるし、人間関係もさらに悪化するからおすすめしないですと言う点が一つと。

今、徴収している地代が、古い時代に結ばれた土地賃貸借契約に基づく金額であり、どちらかが得しているような内容であれば、地代交渉は必ずやってくださいと言う2点です。

一回の交渉で上手くいかなくても時間をかけて上記の方法で諦めずに折衝しつづけましょう。

焦る必要はありません。

それとここで肝心なことは、へそを曲げないこと。

人としてここが一番ハードルの高い部分と察しますが、交渉の場面において、借地人の対応にどうしても苛々が募ってしまったら、この言葉を思い出してほしいです。

実際には借地人が合意しないことも多いので、地代の値上げというのはかなり難しいプロセスということを踏まえたうえで臨む必要があります。

念のため、地代交渉の時系列をグラフにしましたのでアップいたします。

冒頭にも触れた、暴利な地代を請求してくる地主も中にはおりますから、そのうち地代の減額請求についても記事にしたく考えております。

当コンテンツが、借地人と争わない地代交渉にお役立ちすることを願っています。

今回も最後までお読みいただきまして有難うございました。

 

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