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「借地権」とは? 5種類の借地権から旧法・新法の違いまでをまるごと解説

この記事を読むのに必要な時間は約 14 分です。

そこそこ耳にすることの多い借地権。

「相続することになった不動産というのが借地権付の建物だった」

「安めの新築住宅をネットで探していたら借地権付きという表示があった」

という具合ですね。

なんとなく土地を借りるための権利だというのは分かるものの、所有権とは一体何が違うのか?

新法?

旧法?

この様に「細かい点になると分からない部分がいっぱい」という人が殆どでしょう。

だからこそ、特に借地権に関係する方はその中身をしっかりと理解する必要がありますし、正しい知識を身に着けることが良い買い物へと繋がる可能性だってあるのです。

従って今回は借地権についてを解明してまいります。

借地権とは?

とっても簡単に言うと『第三者の土地を借りて、その土地に自己所有の建物を建てられる権利だよ
借地犬
借地犬

小難しく言うと、借地権とは『建物所有を目的とする地上権、または土地賃借権』という事になります。

まず、借地権とは、土地の所有者から土地を借りて何らかの目的のために使用するための権利です。

とはいえ、原則として単に土地を借りているだけでは借地権は発生ません。

その土地に建物を建てて利用するなど、何らかの利用がなされていないといけないのですね。

一般的には、建物を建てて住んだり事業を営んだりするために利用するケースが多いものです。

そのため、法律でも建物の利用を目的とした借地権についてを細かく定めています。

なお、この借地権は、地主と土地の賃貸借契約を結んだ時に発生します。

そして、借地権はとても強い権利で、地主が不当な要求をしても借り手に有利な決定ができるように法律で決められているのですね。

たとえば、地主が土地を第三者に売っても、その買い手が借地人に対して土地からの立ち退きを強制することはできなない等々。

なお、この借地権については、借地借家法という法律によって定義されていて、具体的にどのくらいの力を持っているかなどが示されています。

また、借地権の所有者を「借地人(しゃくちにん)」、「借地権者(しゃくちけんじゃ・しゃくちけんしゃ)」と呼んだりしますよ。

(1) 「旧法借地権」と「新法借地権」の違いについて

あなたの借地は「旧法?」または「新法?」

借地権には、大正10年(1921年)から平成4年8月(1992年)までの期間に定められていた旧借地法と、平成4年8月(1992年)に制定された新借地借家法(しんしゃくちしゃっかほう)による新法が存在しています。

不動産の権利については、時代によって地主と借り手の力関係が変動するという事情もあって、法律によって時代とともに時代の流れに伴う変更が加えられています。

借地権についての定義を行っている借地借家法も、今までに何回も改正がなされていますね。

そして、新しい法律が出される度に、その時代の背景を映し出す条項が加えられたり変更されています。

【旧法借地権と新法借地権の違い】

旧法では明確にこの種類の借地権が定められていませんでしたが、新法では上図の通り細かく項目が作られていますね。

旧法と新法の違い①

旧法と新法においては、定期借地権という制度に大きな違いが見られます。

この定期借地権については詳しく後述しますが、特に定められている期間がなく更新がないのであれば、土地所有者のもとに土地が返却されるという権利のことです。

定期借地権のポイントとしては、地主に必ず土地が返ってくるということで、地主に有利な権利と言えます。

旧法では、この面において土地所有者にデメリットが多い権利制度となっていたため、地主が不利益を被ることが多い状況が見られていたのですね。

そこで、定期借地権を創設することによって、地主の権利を強化したというわけです。

旧法と新法の違い②

旧法と新法のもう一つの違いとしては、借地権の存続期間が挙げられます。

旧法では、鉄筋コンクリート造などの堅固建物では30年以上で、それ以外の非堅固建物では20年以上となっていて、建物の構造によって差が存在していたんですね。

ところが新法では、構造に関わりなく一律で30年と決められました。

そして、更新期間として一回目は20年以上の期間が設定され、2回目以降は10年以上となっています。

他にも、家賃を上げたり下げたりする場合の手続きについての変更も加えられています。

旧法の時には、地代を上げたり下げたりする際に合意に至らないと、裁判に移行することが多かったのですね。

ところが、新法では訴訟にする前に調停を行う必要があるとされました。

家賃トラブルが生じたら、いきなり裁判にするのではなく、調停員を入れてまずは話し合いで解決しましょう、ということですね。

裁判所の負担を減らすだけでなく、賃料の増減の要求を慎重に行うように助けるものとなっています。

 

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(2) 旧法借地権の賃借権と地上権の違いとは?

旧法による借地権では、賃借権と地上権に大きく分けることができます。

「賃借権」

賃借権は、現在でも広く一般に見られる権利のことで、土地を借りて、そこに建物を建てて住んだり商売をしたりすることができるものですね。

ただし、こうした利用をする場合、変更を加える場合には地主の承諾が必要となっているのですね。

「地上権」

地上権というのは、土地を借りるのは一緒ですが、その土地で行うことに関しては、借主が自由にできるという権利です。

つまり、地主の承諾を求めなくても借り手が勝手に土地を利用していいという権利とも言えますね。

建物の売買も自由に行うことができて、権利そのものの譲渡も好きにできるというのが特徴です。

それだけ地上権は賃借権に比べて力が強いですし、地主との力関係でもかなり上位に立つものとなりますね。

こうした事情もあって、現在ではほとんど地上権の設定はなされていません。

旧法に基づいてかなり以前になされた地上権設定がまだ生きているというくらいのものです。

現実問題として見ても、地上権を設定することは地主にとってはほぼメリットがありませんので、契約を結びづらいものと言えますね。

それならば、土地を売ってしまった方が意味があるとも言えます。

ちょっとだけ「借地権」の歴史

借地権は、時代によってその内容が大きく変わってきたという歴史を持っています。

「明治」時代の地主と借地人のパワーバランス

借地権は、その時代背景によって、地主の方が強い立場にいたり、借り手が権利を強く主張したりと力関係が変わってきました。

長い歴史で見ると、地主の方が強い権利を持っている期間がとても長い傾向にありました。

地主が持つ土地に借り手が住まわせてもらったり、小作のようにして土地を借りて畑を耕したりするという形ですね。

地主が土地を他の目的で使いたいから、他の人に売るからと言って、借り主に立ち退きを要求して好きに土地を使っていた時代があったということでもあります。

こうなると、土地を借りていた人は住む場所を失ったり、生活の基礎となる耕作地を失ったりしてしまうことになります。

元々、地主は経済的に豊かで社会的な立場も高いですが、借り手は余裕がなく社会的に弱いケースが多かったので、こうした事態が起こると一気に生活に困ってしまいます。

こうした状況は明治時代まで続いていました。

明治時代には借地や借家に関する法律が制定されていますが、それでもまだ土地は所有権が最も強いという考え方が残っていました。

「明治」時代の後期から「大正」「昭和」「平成」にかけて

明治時代の後期から大正時代にかけて、弱者を守るという立場から、次第に借地権というものの意識が強くなり借地人の権利を保護する法律ができるようになります。

その後も昭和、平成と借地に関する法律は改正を繰り返してきて、その都度借地人の権利が強められてきました。

特に平成の時代に借地借家法が制定されると、より借地権の力が強まったのですね。

極端な言い方をすれば、この法律では一度地主は土地を誰かに貸したら、半永久的に土地が戻ってこない可能性を考えなければなりませんでした。

それだけ借地権が強く定義されていて、借り手を保護する意識が高かったのですね。

しかし、今度はそれでは地主が不利になるということが問題視されるようになってきます。

また、地主と言えども、経済的に豊かだとは言えない状況が現代において見られてきたという事情も生まれました。

そこで、借地借家法が改正されて、借地権にも期限を設けて、一定期間を過ぎたら地主のところに土地が戻るような権利制度を創設したのです。

これが新法で規定されている定期借地権ということですね。

このように、借地権はそれぞれの時代によって、その強さが変動するという歴史をたどってきました。

この後も、様々な事情によって法律が改正され、権利の内容が変更される可能性はありえますね。

 

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借地権は5種類に分類される

借地権は全部で5種類ありますよ

借地権というのは非常に範囲の広い権利で、その用途や権利が及ぶ期間などによって違いが存在します。

そのため、民法や借地借家法によって、いくつかの細かな権利が定められているのですね。

つまり、借地権の中にもいくつかの異なる権利があるということです。

それぞれの違いを見分けることによって、上手に権利を活用できるようになるでしょう。

1種類目 【借地権】

まず、基礎となる借地権について考えることができます。

借地権というのは、土地を借りる際に生まれる権利の総称のようなもので、この借地権の下にいろいろな権利が存在しているんですね。

ただし、借地借家法では新法と旧法で借地権の定義が異なりますので、その違いを知っておくことは大事ですよ。

特にずっと以前から賃借状態が続いている土地などでは、旧法の時に作った賃貸借契約で借地権を考えていることになりますので注意が必要ですね。

(1) 戦前からの旧法に基づいた借地権

昭和の戦前にできた借地借家法の旧法に基づいた借地権は、かなり大まかな権利形態と言えますね。

新法ではこの借地権の下に、後述する定期借地権や普通借地権などが分かれて存在していますが、旧法では個別に分類していないのです。

借地権をすべてまとめて考えているとも言えますね。

その分、借地の用途や規模、契約期間によっては権利関係が分かりづらくなってしまうことがありますので注意が必要です。

旧法の借地権では、まず借地の期間が決まっているという特徴があります。

また、契約期間が終わったら、その契約を更新できるというのもポイントですね。

その際には、更新料を徴収することができます。

(2)新法での普通借地権

新法では、借地権をさらに細かく分類しています。

より一般的な借地権は普通借地権と呼んで、他のものと区別しています。

この普通借地権は、旧法で言う借地権と大きな差はないですね。

ただし、借り手を保護するという立場から、新法の方が権利が多少強めに作られていて、借り地の期間が長くなっている建物があります。

契約において特別に指定していなければ、借地期間は30年となります。

30年以上の契約も双方が合意すれば行うことができますが、逆に30年未満の契約はできないことになっています。

そして、契約期間が満了したとしても、借地人が希望すれば更新することができるのですね。

もし、地主側が更新を望まないという時は、正当事由がある場合のみ、その要望が認められます。

正当事由というのは地主側にその土地を利用する必要性があると客観的に認められる場合のみで、簡単には認められないこともありますね。

正当事由が認められて契約が終了する時は、地主に建物を買い取ってもらうことができます。

そのタイミングでの資産評価価値に基づいた価格で売ることができて、地主は買取を拒否することはできません。

こうした事情もありますので、契約期間が終了しても更新をするケースが実際には多く、そのまま借り手が同じ土地を利用し続けることになります。

2種類目 【定期借地権】

上記の普通借地権だと、実質的に一度土地を貸したらずっと返ってこないリスクがかなり高くなりますよね。

そこで地主の権利を守るために、新法では定期借地権という制度が設けられているのですね。

これは、契約期間を定めて借地を期間満了と同時に返してもらうという借地権の一つです。

しかも、契約満了となっても更新することがありませんので、期間が来たら基本的には借主は土地を返さないといけません。

こうすることで、地主が土地を返してもらうという安心感を持てますね。

ただし、定期借地権は普通借地権よりも権利が弱いですので、その分賃料が安く設定されるという点があります。

地主にとっては、土地が返ってくるという保証があるものの、そこから上がる賃料という利益は少なくなるということですね。

3種類目 【建物譲渡特約付借地権】

この権利は、契約期間が満了した時に、借り手が建てた建物を地主が、その時の資産評価額に応じて買い取ることを約束したものです。

そして、契約期間は30年と定められています。

地主としては、30年で土地を返してもらえるという保証がありますので、権利を保護することができますね。

また、借り手としても建物を買い取ってもらえるわけですから、借地権を失ってもある程度の利益を得られるというわけですね。

契約期間が満了する時点で建物を買い取ってもらうわけですが、その時借地人がその家に住み続けたいという希望を出すことができます。

これは原則として地主は拒否できないことになっていますので、借地人は契約期間が過ぎても、少なくとも同じところで住み続けることができます。

ただし、借地権はなくなっていますし、建物は地主のものとなっています。

借地人は、これから借家として同じ家に住むことになるというわけですね。

4種類目 【事業用定期借地権】

この借地権は、事業用に建物を建て利用するものに限定した権利です。

期間は10年以上から50年未満と幅があります。

そして、10年以上30年未満とした場合は更新がなされず、契約が満了した場合でも、借地人は地主に建物の買取を請求することはできません。

ただし、こうした条件を入れたい場合は、特約として契約に含めれば有効となります。

こうした契約は、公正証書を作成して真正な契約としなければならないという決まりもあります。

5種類目 【一時使用目的の借地権】

今まで見てきた借地権はかなり存続期間が長く、事業用でも最低10年以上となります。

しかし、ほんの短期間だけ土地を借りたいという事情も多々あるものですよね。

そこで、一時使用のための借地権も法律で定められているのです。

この種類の借地権は、特に存続期間の縛りはなく契約によって自由に定められるという特徴があります。

また、更新の請求がなされても、地主は自由に拒否できるという条項もあります。

普通借地権などでは正当事由がないと拒否ができないので、この差は大きいですね。

また、契約期間が満了した場合に、借地人に建物を買い取ってもらう権利はありません。

もちろん、これは双方の合意によるものですので、地主が買い取りたいと言えば可能ですし、拒否された場合は借地人が更地に原状復帰するなどの措置を取ることになりますね。

借地権の資産価値について

底地犬・借地犬
底地犬・借地犬
借地権は不動産関係の権利の中でも、かなり強いものだよ

借地権は譲渡や売買そして転貸も可能な強い権利です。

それだけ資産という観点で見た場合の価値も高いと言えますね。

具体的な資産価値は、大まかに言うと大よそ路線価格によって決まってきます。

土地には、底地権も存在しますので、一つの土地でも底地権と借地権で資産価値を分けることになります。

全体として底地権よりも借地権の方が高く資産価値が設定されていることが多いのですが、この割合の通りに売買するものではないということは知識として予めお持ちくださいね。

また、今まで見てきたように、一口に借地権と言っても、実際には細かく分類されていて、権利の強さも異なります。

そのため、どの権利を設定したかによって、価値も変わってくることになりますね。

地上権を除けば、最も高いのが普通借地権です。

定期借地権になると価値が下がりますし、一時使用目的の借地権であればさらに低くなります。

このように、借地権の価値は路線価格を基本として、底地権との比較、そしてどの種類の借地権なのかということによって決まってくることになりますね。

まずは、借地権の種類の違いを知ることで、より価値の違いを把握しやすくなります。

 

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まとめ

不動産に関係する権利というのは非常にたくさんあって、その違いを理解するだけでも大変です。

しかも、底地権や借地権の様に同じ不動産の中にいくつもの権利が混在しているケースも多いですからね。

その違いを知って有効活用するとなると、さらに難しい問題となります。

そこで今回はわりとポピュラーな権利の1つである借地権にフォーカスいたしました。

借地権を維持するにも売却するにも購入するにも不動産会社の門をたたく前にまずは当サイトで解決くだされば幸いです。

今回も最後までお読みいただきまして有難うございました。

 

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