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借地非訟(しゃくちひしょう)とは? 無料弁護士相談へ行く前にスマホで解決!

この記事を読むのに必要な時間は約 13 分です。

「借地上の建物を空家にしているから、放火も怖いよぉ~」
「台風で屋根が飛ぶリスクもあるわよね・・・」
「地代も払い続けているし」
だから借地権を売却して手放したいのに・・・
建物も朽ちてきたから
借地上の建物を建替えたいのに・・・
な、なんと地主さんが認めてくれない。。。
ご存知ですか?
この様な場面において、地主の代わりに、借地権の売却(譲渡)や、増改築他の許可を裁判所に求めることが出来る制度があることを!

借地非訟とは?

土地の借り手が土地利用方法の何らかの変更をしたいなどの要請をしても土地所有者がそれを認めない時に利用される制度のことです
※非訟という言葉の意味は、訴訟事件ではないということが由来

土地所有者に土地利用の何かしらの変更を交渉をしたものの決裂した場合、借り手は裁判所に申し出ることができます。

そこで双方の言い分を聞き取り、審理をした上で裁判所が承諾することを借地非訟と呼んでいます。

たとえ所有者からの直接の許可がないとしても、裁判所が承諾をしてくれれば、その土地にかかる変更を行えるというわけですね。

この借地非訟は、借り手であれば覚えておきたい制度です。

というのも、土地だけを借りて、そこに集合住宅や自宅、テナントビルなどを建てて居住や投資に利用している人は多いからです。

基本的には借地権は法律でしっかりと確立されている権利で、借り手を保護する効果があります。

しかし、時には土地のオーナーと借り手の間にトラブルが生じてしまうこともありえるのです。

特に土地を今までの使い方から変更する時など、ある程度大きな変更を加えたい時に合意が得られないことは考えられる事態ですね。

今まで土地をアパートとして利用してきたものの、さらに投資を効率良くするためにマンションに建て替えたいということもあります。

また、土地賃貸借権を他の人に転貸もしくは譲渡したいと考える人もいますね。

しかし、土地所有者が応じずそれを認めないことも起こりえます。

借地借家法では借り手の権利をしっかりと保護しているとはいえ、やはり土地のオーナーの承諾なしで勝手に建て替えを行うわけにはいきませんよね。

というのも、不動産所有者が承諾していないのに勝手に賃借権を他の人に転貸したり譲渡したりすると、そもそもの土地賃貸借契約をオーナーの判断で解除されてしまうことがあるからです。

許可なしにこうした大きな変更をすることは、借り手が契約を一方的に無視したとされるからですね。

そこで、借地非訟という制度を利用して、裁判所の許可を得ることが必要となるわけです。

借地の契約タイプは基本的には3種類

①土地賃貸借契約
②土地使用貸借契約
③地上権設定契約書

借地非訟の制度を利用できるのは、①の土地賃貸借契約と③の地上権設定契約です

こうした契約では土地の上に建物を建てて所有するという目的があるので、この制度を使うのが理にかなっているからですね。

多くの地域では、土地の所有権は持たずに、借地権や地役権のみを得て住宅を建てるなどの手法が採られるケースも多くなっていますね。

所有権を持たない分、初期投資額がかなり低くて済むのがメリットだからです。

それでも、借地権や地役権があれば、しっかりと土地利用の権利が守られるので、効率的な手法と言えます。

しかし、上記のようなトラブルが発生する可能性が考えられる手法ですので、しっかりと借地非訟という制度を理解しておくのは大事ですね。

なぜ?借地非訟になるのか?5つの理由

借地非訟は、借り手が土地の利用方法などに大きな変更を加えたいのに、所有者が許可を出さない時に利用されるものです。
その理由を紐解いていきましょう!

なぜ?借地非訟になる理由①

「建物の構造などの建物の条件を変えたい時におこりえる」

元々は木造のアパートだったものを、鉄筋コンクリート造りのマンションに建て替えたいといったケースですね。

建物の構造は多くの場合、借地契約で決められていますので、それを変える時には借地条件の変更を双方で合意しなければなりませんが、それがうまくいかないことがあると借地非訟となるわけですね。

他にも、建物の変更には建物の用途を変えたい場合があるでしょう。

たとえば、借り手の住居用の戸建てにしていたものを、他の人に賃貸したいといったケースが考えられますね。

もしくは、住居用建物をちょっと改装して、自宅兼美容室やネイルサロンなど事業用にも使うといった事例も起こりえます。

また、もっとも起こる可能性が高いものとしては、自己使用の目的を賃貸用にしたいという場合です。

なぜ?借地非訟になる理由②

「増改築の許可」

多くの借地契約では建物の規模、つまり床面積や階数などが定められています。

それを変更して平屋の家を2階建てにしたいとか、一部屋増築して増やしたいなどの希望がある場合、やはり土地所有者と話し合って合意を得てから工事にかかることになります

しかし、契約条件を変えるのが嫌ということで許可を得られないと借地非訟に至ることがあるのです。

なぜ?借地非訟になる理由③

「土地についている賃借権の転貸もしくは譲渡(売却)をしたいという時」

具体的には、借り手が建てた住居を他の人、たとえば自分の子に譲渡したいというケースが考えられます。

建物自体は借り手のものですが、あくまでも借地の上にある住居ということで、譲渡する場合には土地所有者の承諾がないといけません

借地権の実質的な利用者が、譲渡された子になるからです。

また、借地上に家を建てたものの、会社の辞令によって遠方に転勤となったため、その家を他の人に賃貸したいという場合も同じですね。

オーナーの許可が得られないと、借地非訟となることがあるのですね。

なぜ?借地非訟になる理由④

「建物が競売にかけられた時」

建物を建てた人つまり土地の借り手である借地人が借金の支払いができなくなったなどの理由で、資産を売却して清算をすることがあります

この場合、建物を売却して換金すると共に、借地権も買い手に譲ることになりますね。

そうなると、借地権が移るため土地オーナーの承諾が必要となりますが、もし許可しないとなると借地非訟を申し立てざるを得なくなりますね。

この4つ目の理由においては、注意点が一つあります。

それは、借地非訟の申し立てをする期限があるということです。

競売によって建物を得た人は、その代金を支払ってから2か月以内には申し立てをする決まりになっています。

もし申し立てをしないと、土地所有者の意見が通ることになり、家屋を使用できなくなってしまいますので、期限はしっかりと守らないといけないですね。

なぜ?借地非訟になる理由⑤

「土地所有者からの介入権の行使」

※今までの理由とは内容が異なります
上記の4つの理由は、借り手側が何らかの変更をしたいということで行う申し立てです

しかし、借地非訟には土地所有者側から行えるものもあるのです。

それは、上記の三つ目の理由である貸借権の譲渡や転貸、四つ目の競売によるケースに当てはまるものです。

この二ついずれかの理由で申立てがなされた時には、土地所有者も逆の立場で申し立てをすることができるのですね。

これを介入権と言いますが、土地所有者は借り手が要請したことを承諾するのではなく、自分で土地の賃貸借権と借地上の建物の両方を買い取ることが可能となっています。

これも一つの借地非訟とされていて、土地の貸し手側が自分の土地を守るために行える権利と言えますね。

借地非訟の申し立てがなされる原因としてはこれらの5つの理由が挙げられます。

基本的には、借地上の建物の条件というのは、入居時に交わす賃貸借契約によって定められています。

しかし、長い期間にわたって土地を利用していると、その契約条件とは異なる使い方をする必要が出てくることもありますよね。

そんな時、契約で定められているから無理と、最初から諦めてしまうのではなく、まず土地のオーナーと交渉してみることが大事です。

そして、交渉の結果に合意とならなくても、借地非訟という方法を採ることができるのですね。

それだけ借り手の権利というのはきちんと保護されていることが分かります。

ですから、土地のオーナーが首を縦に振ってくれないからと、すべてを諦めてしまうのではなく、裁判所によって承諾を出してもらうことに希望を見出せます。

これは法律によって確立されている正当な権利ですので、申し立てをすること自体にやましいものは何もありません。

「ちょっとだけ」借地権の歴史を解説

借地非訟の制度が発達してきた背景には、借地権そのものの力関係が関係しています

借地権の力、もしくは土地の借り手の権利というのは時代によってかなり変化してきているからです

その時々で、貸し手の権利の方が強かったり、借り手の方が強かったりしますが、全体的に見ると貸し手の方が強い状況が多く見られていました

明治29年「所有権絶対の法則」

特に明治29年に制定された新しい民法では、「所有権絶対の原則」というものが確立されました。

これは、土地は所有権を持っている人が一番強いというもので、かなりの程度、土地所有者の意向によって借り手の権利を制限することができていました。

しかし、徐々に借り手の権利を強くしないと、土地弱者となってしまって安心して住めないということで、法律が加えられていくようになっていくのですね。

明治42年「建物保護法」

たとえば、明治42年には建物保護に関する法律が制定され、特に借地の上に借り手が建てた建物の権利を保護する条項が作られています。

大正10年「借地法・借家法」

さらに明確に借り手の権利が強化されています。

この借地法・借家法は時代を追うごとに改正を繰り返していて、たとえば昭和16年、そして昭和41年に改正がなされ、そのどちらにおいても借り手の権利が強くなっています。

平成4年「借地借家法」

現在にも通じる「借地借家法」という新法が制定されました。

この新法では、特に借り手の権利を申し立てられる「正当事由」がはっきりとし、より権利が強化されているのですね。

こうした借地権そのものの変化が起きている中で、その一つの保護制度として借地非訟が行われていくようになってきました。

借地非訟の根拠は借地借家法にあるものですので、明確に法律でこの権利が確立されたのは、借地借家法が制定された時ということになりますね。

それまでも、ある程度借り手の権利を保護するために裁判によって判断されることはありましたが、明確に借地非訟という形で申し立てができるようになったのは、同法によるものと言えます。

 

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借地非訟の件数を知りたい

借地非訟の年間件数はだいたい400件前後で毎年推移している
※法務省が出している統計

平成19年は489件と多くなりましたが、それ以外の年は400件ちょっとくらいに留まっていて、それほど件数は多くありません。

借地非訟の理由別 NO.1

1番多いのは賃貸借権の譲渡もしくは転貸の承諾を求めるもの

借地非訟の理由別 NO.2

2番目に多いのは、増改築の許可を申し立てるケース

やはり土地所有者と借り手の間に起こりえるトラブルとしては、こうした問題が多いものですので、借地非訟の申し立てにもこうしたポイントがよく表れていると言えるでしょう。

申し立て理由別の件数変動はそれほどないのですが、競売や公売に関係する賃貸借権の譲渡についての申し立ては年によって変動が多めですね。

たとえば、平成15年の借地非訟の受理件数129件は、平成20年の受理件数の2倍以上になっています。

これは、年によって経済情勢が大きく変化していることが関係していると考えられますね。

経済が厳しくなれば、ローンの支払いが難しくなり自己破産などの手段を採らざるを得ない人が当然増えてくるわけです。

そうなると、建物を競売にかける、相続税や所得税などの税金を支払うことができず公売に回されるということになりますね。

それで、この理由での借地非訟申し立てが多くなります。

このように、借地非訟の細かいところを見ると、その時々の経済事情を反映することもあり、興味深い考察を行うことができますよね。

借地非訟のメリットとは?

こうした借地非訟の制度を利用して申し立てをすることには、たくさんのメリットがありますよ!

借地非訟のメリット①

「ライフステージに合わせて自分たちが住むための住居を改築できる」

最初は小さな間取りの家で十分だったかもしれませんが、子どもができたり、親を引き取って介護をする必要が出てきたりすることがありますよね。

そんな時に、自宅を増築して住みやすくするのは、居住者にとって自然なことと言えます。

土地のオーナーが拒否するとしても、必要のあることですので、借地非訟によって裁判所から承諾を得られれば、快適な生活を家族みんなで過ごせることになりますね。

借地非訟のメリット②

「借りている土地を有効活用できる」

土地にアパートを建てて投資用物件として所有するのは、資産運用の一つの手ですよね。

無駄になっている借地があるのであれば、こうした運用のための建物を建てることで、上手に投資ができることになります。

さらに、借地の上に建てた建物も無駄にせずに済むという利点があります。

家族が一緒に住むために大きな家を建てたものの、子どもが巣立った後は不要になり、夫婦二人だけの小さな家で十分ということもありますよね。

そんな時は、今まで住んでいた家を賃貸に回して、新しく小さめの家を購入したり借りたりすることで、不動産を無駄なく使えます。

借地借地非訟のデメリットとは?

こうしたメリットがある一方で、借地非訟を実行することで生じるであろうデメリットもお伝えしなければ!

借地非訟のデメリット①

「土地所有者との関係性の悪化」

これは最も大きなデメリットと言えるでしょう。

この制度は言ってみれば、土地所有者がうんと言わないので、裁判所に介入してもらって自分の要望を承諾してもらうというものです。

当然、土地所有者から見れば、面白くない結果になってしまいます。

これからもずっとその土地を使い続けるわけですから、オーナーとの関係が悪くなってしまうと、後々他のトラブルが生じてしまう可能性もあるので注意が必要ですね。

また、許可が得られても、引き続き地主との係争が続いていると、売却できる価格が下がったりなかなか買い手がつかない可能性も出てきます。

これもかなりのデメリットですね。

借地非訟のデメリット②

「手間がかかる」

裁判所に申し立てをして審理を行ってもらうという手間がかかるのもデメリットの一つですね。

借地非訟は基本的に土地があるエリアを管轄する地方裁判所に申し立てるもので、審問のために貸し手と借り手の両方からヒアリングを行います。

その都度裁判所に出向く必要があります。

その後、鑑定委員会による現地調査が行われますが、その際にも現地での立ち合いが求められます。

決着を見る前にも、最終審問として当事者へのヒアリングが実施されますね。

こうして何回も裁判所や現地へ足を運ぶ必要があります。

全体として7か月から9か月の期間がかかりますので、その間はやりたいと思っている建物の変更をすることはできません。

こうした手間と時間をかけられるかということを考えて、申し立てるかどうかを決めることが大事ですね。

借地非訟のデメリット③

「最終的な決定は裁判所次第」

審理では、土地を借りている背景やこれから行いたいと思っている建物の変更の必要性などを考慮します。

こうした判断はすべて客観的な検討の下に行われますので、場合によっては承諾の決定とならないことも当然あるわけですね。

申し立てをしたから必ず借り手の意見が通るというわけではありませんので、いろいろな可能性を考えた上で手続きを始めた方がいいでしょう。

また、許可してもらう代わりに地代の変更や、別途承諾料を命じられる場合もあります。

借地非訟のデメリット④

「借地非訟で売却や、増改築の許可を得るときは、原則、住宅ローンが使えない」

これもかなりのデメリットと言えます。

購入した借地権を売却する場面においても、地主との係争が続いていたら、住宅ローンで買う層に買ってもらえないという事ですからね。

まとめ

今回は、借地非訟についてをコンテンツにしました。

地主の中には、頑なに借地人の借地権譲渡を許可しない考えの方がいらっしゃいます。

売却を許可くださる地主も多いですが、売却するどころか更地にして返してくれという思いが、実は殆どの地主の本音なのではないでしょうか?

地主に借地権を買いませんかと聞きに行ったら、買うなんてとんでもない。更地にして返してくれと言われたこともあります。

「善意で土地を貸してあげたのに・・・」

「私が底地を売ろうとしたら、3割にしかならないの・・・?2割にしかならないの・・・?」

「戦後の混乱期にさ、借地人は私たちの土地に勝手に家を建てたんだ・・・私たちは後から地代を徴収していったていうのに・・・」

土地の賃貸借契約が成立した背景も様々ですからね、一概には何とも言えませんが、この様な地主の悲痛の叫びはわかる気がします。

しかし、売れるものなら売りたいとの借地人の気持ちも理解できます。

先述した借地非訟のメリットやデメリットを理解いただき、少しでも係争がなくなることを願っております。

最後までお読みいただき有難うございました。